先輩職員に聞く。

特別養護老人ホーム「ぬくもりの里 島立」で働くふたりに話を聞きました。

家高 源
家高 源 (やだか はじめ)
生活相談員(ソーシャルワーカー)
1984(昭和59)年生まれ、木曽町出身。二級建築士として建設業に携わった後、介護の仕事に就く。「ぬくもりの里 島立」に勤務して10年目。
池上 七星
池上 七星 (いけがみ ななせ)
介護福祉士
1998(平成10)年生まれ、安曇野市出身。高校の普通科を卒業後、芹田福祉サービスに入職。「ぬくもりの里 島立」に勤務して6年目。

介護職に就いた経緯を教えてください。

池上:
子どもの頃からおじいちゃん、おばあちゃんが好きで、小学生の頃には介護の仕事をすると決めていました。高校を卒業してここに入り、6年目です。
家高:
専門学校を出て建築士の仕事をしていて、休みなく働いて26歳で倒れ、実家で1カ月ほど寝込んでいた時に、看護師の母に誘われました。母のいた施設で2年働き、ここに来て10年になります。

仕事の内容は?

池上:
移乗、排泄、食事、服薬、食事など、おもに身体介助です。
家高:
僕は生活相談員をしています。入居者やご家族の相談を受けて、必要な介護サービスにつなげたり、あとは苦情の受付とか……。
池上:
私が入った時の指導担当をしてくださって。
家高:
池上さんの同期は4人いて、それ以降、高校卒業の未経験の新人が毎年入るようになって職場が若返りました。でも65歳以上の方が元気に働いていたり、歳は関係ないかな。いくつになっても働ける仕事です。
2022.04.20_0131@2x

新人指導はどんな仕組みですか?

家高:
やり方は各階に委ねられていたので、「ここまでやれたらひとり立ちOK」というオリジナルのマニュアルを僕が作って。マンツーマン指導でおむつ交換や介助の仕方を覚えてもらって、2、3カ月でひとり立ちです。でも、その後1年間の指導担当者をつけました。僕よりそっちを慕っちゃって。
池上:
そうですね。くっついてました。

それぞれどんな資格をお持ちですか?

池上:
昨年春に介護福祉士の資格を取りました。専門学校卒だと受験資格があるんですが、私は普通科卒でゼロからのスタートだったので、まずは介護職員初任者研修を受け、実務者研修を受けて、3年以上の実務経験を積んでからでした。
家高:
僕は介護福祉士を取ってから、社会福祉士を取りました。社会福祉士になると、生活相談員になるための資格要件が満たせるんです。安定を求める人には介護職はいいと思います。資格を持っていると食いっぱぐれないし、お給料はちゃんと上がるし。
2022.04.20_0017@2x

やりがいを感じるのはどんな時ですか?

池上:
たとえば足の動かせなかった人が、着替えの際に少し身体を動かしてくれたり、入居者の方が、それまでできなかったことができた時が、とてもうれしいです。

逆につらかったのは?

池上:
介助に慣れるまでは、入居者の方にきつく言われたことがありました。家高さんが居合わせてくれて助かりました。
家高:
全然悪い人じゃないんだけど、言葉がきつくて。移乗がうまくいかなかったので、それはやらずに、ほかのことで信頼関係を築いて、そうすれば言われなくなるよ、と。「嫌われちゃった」をそのままにしておくと、入居者さんもダメージを受けるんです。だからいったん引いて、距離をおく。その人も最期は看取ったんだよね。
池上:
はい。慣れた頃にうれしい言葉をかけてもらって、最期は普通に接してくれるようになりました。

看取りの経験もある?

池上:
5年間で2度、夜勤の時に立ち会いました。
家高:
ひとりは亡くなって30分経たずに池上さんが発見して。朝方の比較的バタバタしはじめる時間帯で、しかも1時間ごとの巡視から外れた時間に見に行ってくれていた。それで彼女の評価がすごく上がったんです。
池上:
夜勤はひとりになる時間帯があって、1年目で看取りの経験もなくて、とにかくひと晩中こわくて、30分ごとに見回っていました。亡くなる30分前にもその方としゃべって、もう一回見に行ったら亡くなっていました。
家高:
お医者さんに知らせ、ご家族に知らせ、その対応も良かった。僕も知らせを受けて駆けつけて。
池上:
来てくれました。

つらい場面ですね。

池上:
泣いて、やばかったです。
家高:
看取りの時はちゃんと泣けって言うんです。ただし、ご家族の前ではなく、家に帰ってから。同じように、怒るときはちゃんと発散する。
2022.04.20_0069@2x

どうやって発散するんですか?

家高:
イライラした時に「このボールを蹴りなさい」って置いといたことがあったけど、大失敗でした。時計にあたって落ちて。でも、物理的に切り替える場面が必要です。態度に強く出てしまうと、入居者さんにケガをさせかねない。だからリセットのために別のところでちゃんと怒った方がいいし、ちゃんと泣いた方がいいんです。抱えると介護できなくなっちゃう。
池上:
だから帰りの車中で歌っています。
家高:
池上さんは、介護の場でイライラしているのを見たことがない。
池上:
そうですね。仕事は楽しいです。
家高:
まかないはないけど。
池上:
そこですよねー。いえ、冗談です。検食があるから大丈夫です。冗談です。

これからどんな仕事をしていきたいですか?

家高:
僕は対面の仕事は続けたいです。入居者さんでもご家族でも。人と接する仕事は続けていきたいです。
池上:
毎日同じ流れをくり返す生活の中でも、入居者の方にちょっとでも笑ってほしいし、楽しんでほしいです。
2022.04.20_0083@2x-1
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